第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
やがて、部屋へ辿り着く。
ラビは包帯の巻かれた肩を庇うように、慎重に私をベッドへ降ろした。
柔らかな感触。
掛布団が、そっと掛けられる。
ぼんやりした意識の中で、私は小さく息を吐いた。
暖かい。
安心する。
そのまま、意識がゆっくり沈んでいった。
Side:ラビ
「……ん?」
小さな声。
マフラーを回収しようと手を伸ばす。
けれど、ティファは眠ったまま、その布をぎゅっと抱き込んでいた。
「……おい」
掠れた笑い声。
ラビがそっと引っ張る。
だが。
「や……」
ティファは小さく眉を寄せ、さらに布へ擦り寄った。
まるで、取り上げないでと言うみたいに。
ラビが完全に黙る。
数秒後。
深い溜息が落ちた。
「……返してくれねぇのかよ」
苦笑混じりの声。
結局、取り返すのを諦めて、ラビは髪を掻き上げた。
そのまま、ベッド脇へしゃがみ込む。
こんな無防備な顔を見せられて、何も思うなという方が無理だった。
「……そんな安心した顔すんな」
掠れた独り言。
ティファはもう聞いていない。
ただ、彼のマフラーを抱き込んだまま、安心したように眠っていた。