第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
ティファは誤魔化すみたいに、グラスへ口を付けた。
すると、アレンが静かに眉を寄せる。
「ティファ、飲むペース早過ぎます」
「だいじょぶよぉ」
「大丈夫じゃない時の人の台詞です」
真顔だった。
食堂が笑いに包まれる。
私はふわっと笑った。
「アレン、最近お母さんみたい」
「誰がお母さんですか」
「でも、過保護だよなー」
ラビが吹き出す。
アレンは少しむっとした。
「心配してるだけです」
「へいへい」
結局、二人ともずっとこちらを見ている。
その視線から逃げるみたいに、私はまた酒を飲んだ。
すると、数分後。
「……あれ」
私は、ぼんやり瞬きをした。
少し、視界がふわふわする。
ラビがそれを見て、すぐに私の手元からグラスを取り上げた。
「ん、没収」
「えぇ……まだ平気ぃ……」
「その喋り方になった時点で危険信号だろ」
「らび、うるさぁい……」
私は頬を膨らませる。
すると。
ラビが一瞬だけ黙った。
その視線が、私の顔へ止まる。
「なにぃ?」
ラビは数秒固まったあと、片手で口元を覆い、顔を逸らした。
「……わりぃ、ちょっと今のは効いた」
静寂。
「うわぁぁぁ……」
科学班の誰かが、耐え切れず声を漏らした。
私は数秒停止したあと。
顔から火が出そうになった。
「ラ、ラビ……っ!!」
「いや、今のはお前が悪ぃ」
本人は悪びれもせず笑っていた。