• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第18章 【第十七話】歌声は吸血鬼を惑わせる~クロウリー編②


振り返ると、アレンは逃げていくエリアーデを鋭く睨んでいた。

「……あの人を放置したら駄目です」

アレンの声が、低く変わった。

「クロウリーを煽っているのは、あの人です。逃がしたら、彼はずっとこのままだ」


エリアーデは回廊の闇へ消える直前、こちらを振り返って笑った。


まるで、誘うように。
挑発するように。

逃げているんじゃない。
アレンを、こちらから引き離そうとしている。


それでも、追わなければならない。


「ラビ! ティファを頼みます!!」

アレンが左手を構える。

「はぁ!? お前一人で行く気か!?」
「クロウリーを止めるには、あの人を止めるしかありません!」


アレンの視線が、肩を押さえる私へ向いた。

何かを言いかけて、けれど飲み込む。


託すように。
それでも、託したくないように。

銀灰色の瞳が揺れた。


それから、アレンは振り返らなかった。

闇の奥へ飛び込んでいく。


「っ、アレン――!」

呼び止めるより早く、その背中は回廊の闇へ消える。

残された墓地では、クロウリーがなおも苦しげに頭を押さえていた。

その視線が、再び私を捉える。


憎しみと恐怖で揺れる、孤独な瞳。


私は肩の痛みを堪え、もう一度レイピアを握り直した。

そして、再び歌い始める。


この男を壊すためではない。

――救うために。

/ 1033ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp