• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い



「大丈夫? 昨日かなり飲んでたから……」

「う……ちょっと頭痛い……」

「やっぱり。途中までは全然平気そうだったのに」

苦笑するリナリーから、目を逸らす。


……どこまで見られていたんだろう。


「ティファ?」

「な、何でもない!」


首を傾げるリナリーを慌てて誤魔化した拍子に、ベッドの脇からオレンジ色の布が少しだけ覗いた。リナリーの視線が、そこで止まる。


私は固まった。


「……ラビの?」

「っ!!」

反射的にマフラーを掴む。顔から火が出そうだった。


「ち、違……いや、違わないけど……!」

「ふふ」

リナリーが小さく笑う。からかうというより、微笑ましそうな笑い方だった。


「ラビが部屋まで運んでくれたのよ」

マフラーを握る指に、力がこもった。


「……そう、なの?」

「うん。ティファ、完全に寝ちゃってたから」


……全然覚えていない。なのに、残っている匂いだけが妙にリアルで、余計に落ち着かなくなる。


そんな私を見て、リナリーは少しだけ笑みを深めた。

「体調大丈夫そうなら、私、先に食堂行ってるね」

「あ……うん」

「ちゃんと食べに来てね?」

姉みたいなことを言いながら扉へ向かったリナリーが、最後に一度だけ振り返る。


「あと、そのマフラー」

「っ……」

「返してあげなきゃ駄目だよ?」

にこっと笑って、今度こそ部屋を出ていった。



扉が閉まって、静かになる。しばらく、動けなかった。


腕の中のマフラーに、そっと目を落とす。


「……ほんとに、何したのよ、私……」

小さな呟きが、静かな部屋に落ちた。

/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp