第52章 【第四十七話】欲しかった言葉
Side:ティファ
誰かとすれ違いそうになるたび、別の廊下へ曲がった。
そうして人の少ない方へ歩いているうちに、片づけの音も、誰かを呼ぶ声も遠くなっていた。
顔を上げると資材置き場の向こうに、本部の裏手へ続く木立が広がっている。どうやら、崩れた区画の外れまで来ていたらしい。
見覚えのない場所だった。
聞こえるのは葉が擦れ合う音だけ。
腰掛けられそうな倒木を見つけ、そこへ座った途端、張り詰めていたものが切れた。
堪えようとしたけれど、駄目だった。
嗚咽が喉の奥から勝手に漏れ、押し殺そうとするほど途切れて、自分のものとは思えない音になった。
肩の震えは、しばらく止まらなかった。