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彼女はボクに発情しない

第9章 ボクと歌姫たちの三重奏


☆☆☆
最終ゲームとして笹本さんが提案したのは卓球だった。リーグ戦だ。

ここまでで、勝負は笹本さんも私も2勝ずつだ。この卓球をとった方が優勝ということになる。そして、彼女自身が提案したこのゲームは、当然、彼女にとって最も得意とする種目だと思っておいたほうがいい。

だけど・・・。

すこーん。
私の打った球がテーブルの隅に突き刺さる。これで、陽太、大槻さん、霧島くんを下し、3勝目だ。そして、当然のように笹本さんも同じ三人を悠々と負かし、3勝している。

私は卓球が得意なのだ。

ここまでくると、私と笹本さんは互いに互いの狙いがすでに分かっている状態である。いつになく、真剣なというか、突き刺さるような視線を向けてくる笹本さん。
私も負けじと強い視線を向ける。

最後の、本当に最後の勝負が始まる。

彼女のサービス。鋭くコーナーを突いてくる。ややドライブもかけてくる。これまで見てて分かってはいたが、彼女は経験者だ。

でも、私だって経験者だ。中学時代、兼部で卓球部に属していた。試合だって出ていたのだ。

激しいラリーの末、私のリターンが炸裂する。
笹本さんも、私が経験者であることを悟っているだろう。多分、彼女らの計画では、私と陽太がどんなゲームを提案してきても、バッティングとダーツ、そしてこの卓球の3ゲームは手堅く取れると思っていたに違いない。

だから、この卓球で私がここまで強いということは、計算外だっただろう。

私のカットサーブ。急速に変化する球に笹本さんが大きく体勢を崩す。そこに、リターンを叩き込む。

ただ、彼女もやはりそれ相応の実力を持っているようだ。私も一方的に点が取れるわけではない。若干、私がリードしてはいるが、一進一退の攻防が繰り広げられる。

「頑張れ!優子!」
大槻さんが声援を送る。きっと、大槻さんはいい人なんだろう。あなたでしょ?親友のために、こんな舞台まで設定したのは。

「!行け!」
陽太が応援してくれる。その声が私に力をくれる。
たとえ、そういう意味ではないとしても、『頑張っていいんだ』と思わせてくれる。

試合は白熱していた。実力が拮抗している者同士の戦いだ。激しいラリーが続き、白球が目まぐるしくテーブルの上を跳ね回る。
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