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彼女はボクに発情しない

第9章 ボクと歌姫たちの三重奏


☆☆☆
ずいぶん変なことになった。遊ぶだけだったはずが、デートを賭けた勝負になった。
いったい、大槻さんはなにを考えているのだろうか?

とりあえず、霧島くんはものすごいやる気のようだ・・・。彼はどうやら大槻さんが好きみたいなので、勝ったら大槻さんを指名するのだろう。

陽太は・・・?

なんか、やる気のある目をしている・・・。どういうこと?勝ったら誰を指名するつもり?

先日の風香ちゃんの台詞を思い出す。

『だって、陽兄、お姉ちゃんのこと、大好きだもん』

・・・わ、私を指名するつもり?!
いやいやいや・・・もしかしたら、大槻さんとか、笹本さんかもしれない・・・思い込みは禁物だ。

いや、でも、ちょっと、待ってよ。私が勝ったら?陽太を指名してもいいの?
途端に顔が真っ赤になるのを感じる。表情でバレてしまわないように、できるだけみんなの方を向かないようにしてやり過ごす。

いいよね?陽太を指名しても・・・だって・・・ゲームの賞品だし・・・。嫌がらないよね?

「でーわ、第一試合はバッティングでーす!」

ルールは簡単。ワンゲーム20球の内、何球打ち返せるか、だった。ただし、さすがに野球部の霧島くんが全く同じ条件なのはダメだろうということで、球の速度を変えることで合意した。霧島くんは最高速度、その他は最低速度で勝負することとした。

最初にバッターボックスに入ったのは大槻さんだった。ブンブンと素振りをする姿はだいぶ堂に入っている。どうやら彼女はスポーツが得意なようだ。

ブンと空気を震わせて初球が飛び出す。カツンと微妙な音が鳴り、打球はボテボテのゴロにだった。ただ、ルール上、これも『打ち返した』ことには変わりないので、1点になる。
大槻さんは次に備え構え直し、ピッチングマシーンを睨みつける。

2球目・・・割といい当たりだ。やっぱり彼女はなかなかの腕前だ。

そんなわけで20球中、彼女は12球を打ち返した。

二人目は霧島くんだ。さすが野球部だけあって、構え方が違う。ただ、スピードはここの施設の最高速度に設定されており、さっきの大槻さんに比べて格段に早い。
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