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彼女はボクに発情しない

第8章 北風と太陽による諧謔曲


☆☆☆
食後もボクの頭はのことでいっぱいだった。自分の部屋であれやこれやと考えていると、許可も取らずに入ってくるやつがいた。

妹の風香だ。

「ちょっと!陽!うるさいよ!何叫んでるのよ!!」

彼女が入ってきたのは、ちょうど今考えていた36個目の仮説『もしかしたら、は宇宙人に一度さらわれて改造をされてしまったのではないか』についての考察が佳境を迎えているときだった。

どうやら、考えているだけではなく、思いっきり声にも出ていたらしい。
そう言えば、今さっきも「あぶだくしょーん!!!」と叫んでいた気がする。

「陽はもう試験終わったみたいだけど、私は明後日からなんだからね!うるさくしないでよ」
そうだ・・・風香は中学生で、少し試験が遅いんだった。

「す・・・すまない」
ボクの様子を見て、風香は額を手で押さえてため息をつく。

「全く、陽は・・・お姉ちゃんのことになると、キチガイになるんだから・・・」
「そうなんだ・・・が・・・って、なんでお前分かるんだ!?」

ドキリとした。自分では家ではの名の一文字も出してないはずなのに、なんでこの妹にはボクの悩みの根源が分かるんだ!?

「見てわからないとでも思ったのか!まるわかりだっつ〜の」
やれやれと、さも当たり前といった様子で首をふる。

「で?」
どん、風香がボクのベッドに腰を掛ける。

「へ?」
何が、で、だ?間の抜けた声が出てしまった。

風香がバンとベッドを叩く。
「心優しい妹様が、試験前の貴重な時間使って、バカ兄貴の悩みを聞いてやろうって言ってんよ!とっとと白状しなさいよ!何したの?痴漢?盗撮?浮気?」

なんか、ひどい・・・兄に対する見方が酷い、言い方はもっと酷い。

「違うわ!」
仕方がないので、今日あったことを風香に話した。

「それだけ?」
「それだけ」
「試験が終わって、先に帰ってしまった、と」
「そうなんだよ〜。あっという間にいなくなってて・・・」
何度思い出しても落ち込む。いろんな仮説を考えたせいで、胸がめちゃくちゃえぐられる。
「そもそも『今日急ぐから』って言ったんでしょ?」
「言ったよ」
「じゃあ、そうだったんじゃないの?」
そ・・・それはそうだけど・・・そうだけど、違うんだー!
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