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彼女はボクに発情しない

第30章 交響曲 ”彼女はボクに発情しない”


☆☆☆
2年前、イギリスについて、すぐ、私は無菌室のような所に入れられた。看護するスタッフは全員女性、最新の機器で身体状態をモニタリングされ、いくつもの検査を受けさせられた。

検査の結果の分析が終わり、術式が確定したとお兄ちゃんに告げられたのは、渡英後、半月経った頃だった。

脳の手術をする、と言われた。お兄ちゃんが丁寧に説明してくれる。

「怖いかい?」

ベッドに座っている私の横に、白衣を来たお兄ちゃんが寄り添うように座る。

確かに、脳の手術は怖い。術後に起こりうる副作用等についても説明を受けた。ただ、お兄ちゃんは「命に変えてもにはびた一文副作用を発生させない。その自信が僕にはある!!」と言ってくれた。

何の根拠もないけど、それで少し安心した。

本当に、ここにきて、私はいろんなことが怖くなっていた。
一人だったからだ。

今まで、どんなときでも陽太がいた。
私がいろんなことに負けずに頑張れたのは、きっと彼のおかげだったんだ。
でも、今、彼はいない。もう頼れない。
だから、私は自分の力で頑張らなければいけない・・・そう思った。

結果的に手術は成功。その後、若干のリハビリとホルモン剤の投与が続く。ホルモン剤の投与は結構身体がきつかったが、気のいいイギリス人の看護師さんやお兄ちゃんの支えでなんとか乗り切れた。

数ヶ月に一度、お父さんやお母さんがお見舞いに来てくれたのも嬉しかった。

そうして、あっという間に、2年の歳月が流れていった。
私のPIHは少量のホルモン剤を経口投与すれば全く症状が現れないくらいまで回復していた。治癒、といってもいい状態だった。

もうすぐ退院というある日のこと。長くお世話になった病室を片付け始めていた。ずっと私の面倒を見てくれていた主任看護師のエミリエも手伝ってくれる。

「What's this paper bag? It looks like it's been here for a while.(この紙袋は?ずっとあるみたいだけど)」

そう、病室の机の上には、日本を発ったあの日、優子ちゃんからもらった紙袋がそのまま置いてあった。
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