第26章 狂おしき愛の追想曲
根本的な原因は分からないが、PIHの機序は大体判明していた。脳内のホルモン受容体の過剰反応及び性ホルモンを構成するタンパクの一部変異が原因と目されている。スイッチとなる受容体の・・・まあ、細かなことはいいか。とにかくある程度仕組みはわかったということだ。
治療には脳内の手術及び1年に渡るホルモン療法が有効である可能性が示唆された。
もちろん、いきなりで人体実験なんかできない。僕は世界中を飛び回り、PIHの症例を集め、治験への参加を促した。そして、有効性が、やっと認められたのだ。
デール博士も「これほどスピーディーに治療法を確立するとは、まさに奇跡だ」と言った。当たり前だ。相手は天使だ。奇跡など、日常に起きている。
そして、今回、僕は日本に帰ることを決意したのだった。