第5章 first love…?
しかし、彩峰くんの恋人になった男は大変そうだ。
どういう訳か、自分の女があの岸辺露伴と同棲してるんだからな。
などと、勝手に頭の中でいるのかどうかも分からない彩峰くんの恋人にお節介を焼いた。
「あの、空条さん?どうかしましたか?」
心配そうに彩峰くんに顔を覗きこまれて、現実に引き戻された俺は考えるのを止めた。
「いや、何でもない」
「……そうですか」
……いい加減、うっとおしくなってきたぜ……
もう、これ以上こいつらの生活に首を突っ込むのも面倒だと感じてしまった俺は、くるりと2人に背を向けた。
「あれっ、空条さん?」
「……俺はこっちに用があるんでな」
しれっと嘘を吐いてそのまま歩き出す。
それにしても……
あいつら、普段からあんなやり取りを他人の前でしてんのか?
だとしたら、ただのお惚気カップルだと勘違いされてもおかしくねぇ。
面倒くせぇ奴らだな……
そんな事を思いながら、曲がり角を曲がろうとした、その時だった。
「露伴先生ッ!!」
キキイィィィッ!!!ドンッ!!
彩峰くんの叫び声と、車が何かにぶつかるような衝撃音が背後に響いて俺は反射的に後ろを振り返った。
「彩峰ッ!!」
振り返った瞬間、目に飛び込んできたのはガードレールに突っ込んだ車、そして地面に倒れる彩峰くんに駆け寄る露伴くんの姿だった。
「おいッ、何があった?」
俺は、ぴくりとも動かない彩峰くんの上半身を抱き起こす露伴くんの傍らに急ぐ。
「彩峰、彩峰ッ!」
露伴くんが彼女の身体をめいいっぱい揺さぶるので、それを止めさせようと彼の肩に手を置いた。
「よせ、露伴くん」
……クソッ……
俺が、もっと早く気付いていれば……
スタープラチナ・ザ・ワールドで何とかなったかもしれねえ。
しかし、そう後悔しても起こってしまったものはもう仕方ない。
「怪我人をあんま動かすんじゃあねえ。まずは、救急車だ」
努めて冷静を装うが、露伴くんはそうもいかないらしい。
「そう思うなら承太郎さんが呼んでくださいよッ!」
俺の手を振りほどいて、まだ動く気配のない彩峰くんを揺さぶり続ける。
「彩峰ッ……!」
「だから、動かすな」