【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第16章 海×陸
その瞬間。
教室の空気が固まった。
釘崎が目を閉じる。
伏黒が視線を逸らす。
鈴が小さく肩を縮めた。
潮だけが首を傾げる。
は数秒黙ったあと、
「あぁ……うん……」
力なく笑う。
「その話はちょっと……」
そして静かに視線を落とした。
教室中が察した。
まだ終わっていない。
たぶん現在進行形で終わっていない。
虎杖もようやく地雷を踏んだことに気づく。
「あ、あぁ、そうだね……」
乾いた笑いが漏れる。
「あはは……」
はそのまま教卓へ向かった。
背中が少しだけ小さく見える。
虎杖はその姿を見送りながら小声で言った。
「お前ら、ちゃんと後で先生に謝れよ……」
すると。
隣から即座に返事が飛んでくる。
「もう謝ったし」
ぶっきらぼうな口調。
はそんな生徒たちを見渡し――。
「……」
ふっと肩の力を抜いた。
そして、
「コホン」
小さく咳払いを一つ。
手に持った出席簿を閉じる。
「はぁ……」
思わず漏れたため息。
昨日から抱え続けている疲労が、まだ身体のあちこちに残っている気がした。
報告書。
始末書。
被害報告。
関係各所への謝罪。
思い出しただけで胃が痛い。
が。
教壇に立つ以上、いつまでも引きずっているわけにもいかない。
は一度だけ目を閉じた。
そして。
「んっ……!」
小さく気合いを入れるように拳を握る。
「じゃ、授業始めよっか」
その言葉に、生徒たちも自然と前を向く。
虎杖が姿勢を正し、
釘崎が教科書を開き、
伏黒は静かにペンを手に取る。
リンも慌ててノートを取り出し、
ウシオは面倒そうな顔をしながらも椅子に深く座り直した。
窓の外では春の風が木々を揺らしている。
穏やかな朝だった。
――キーンコーンカーンコーン。
授業開始を告げるチャイムが、高専の校舎に静かに響き渡った。