【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第10章 original
そして。
夏油「……さて」
誰にも聞こえないくらい小さな声で呟く。
夏油「ハヤミは、どうするかな……」
その視線だけが、静かに家の方へ向けられていた。
それからは・・・
時間だけが、静かに過ぎていった。
結局最後まで、ハヤミにもヒナタにも何も言い出せなかった。
笑って。
話して。
一緒にご飯を食べて。
まるで、この時間がずっと続くみたいに過ごしていた。
そして。
──約束していた夜が来る。
外は深く雪が積もっていた。
白い息を吐きながら、そっと玄関の扉を開ける。
静かに家を出ると、その先には既に夏油が立っていた。
雪の中、黒い袈裟が静かに揺れている。
夏油の方へ歩こうとした、その時だった。
ハヤミ「──っ、はぁ……っ、は……!」
遠くから、雪を踏み荒らす音。
振り返る。
そこには、息を切らしたハヤミがいた。
かなりの速度で走ってきたのだろう。
肩で荒く呼吸をしながら、それでも真っ直ぐ夏油を睨みつける。
ハヤミ「……どこに行くつもりですか、夏油さん」
低く、真面目な声。
すると夏油は小さく笑った。
夏油「それは、聞く相手を間違えているかもしれないね」
その言葉に、ハヤミの視線がゆっくりへ向く。
ハヤミ「…………」
名前を呼ぶ声が、ひどく弱かった。
は少しだけ寂しそうに目を伏せる。
「……ごめんね、黙ってて」
白い雪へ視線を落としながら、ぽつりと続ける。
「でも、帰らなきゃ」
その瞬間。
ハヤミが駆け寄ってきた。
ぎゅっ、と。
強く抱きしめられる。
「……っ」
雪の冷たさなんて感じないくらい、
ハヤミの体温は熱かった。
耳元で、消えそうな声が落ちる。
ハヤミ「…これから、一緒に暮らそう……」
震える声。
ハヤミ「頼むから、俺の前から、いなくならないでくれ……」
その声に、言葉に、胸が痛む。
けれど、ゆっくり目を閉じた。
「……ごめんね
でも、生きてることが分かったんだもん」
抱きしめ返すことはせず、そっと言葉を落とす。