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その距離、反則につき。

第5章 Lesson4 憎めないヤツ


 新学期が始まった翌朝。レイはハーマイオニー、ジニー、ルーナとともに大聖堂へ向かっていた。朝の空気はまだ冷たく、吐く息が白くなるほどではないものの、夜の名残を残した石造りの建物には、ひんやりとした空気が漂っている。
 昨夜は久しぶりに顔を合わせたこともあり、四人で遅くまで話し込んでしまった。その所為もあって、今朝のレイはいつも以上に眠そう且つ不機嫌だった。

「レイ、眠そうね」
「誰のせいだと思ってるんだ」
「もしかして私達?」
「もしかしなくとも私達だ」

 大きくあくびをしながらレイ独特の赤い眼で睨むと、ジニーは「だって本当に楽しかったから」と悪びれもせずに笑った。
 何かあると、顔を真っ赤にして人の背中に隠れてしまうおチビさんだったのに、いつの頃からかジニーはお喋りで快活な女の子に変身していた。

 一方のルーナは、コルクのネックレスとカブのイヤリングを身に付け、いつも通りメラメラ眼鏡をかけて、「ザ・クィブラー」を逆さに読みながら歩いている。うん、こちらは至って平常運転だ。

 そんなやり取りをしながら大聖堂へ入ると、すでに朝食を始めている生徒たちの中に、見慣れた二人の姿があった。

「あぁ、レイ!ここだよー!!」
「アレクセイと……ドラコ!?」

 レイが目を向けたそこには、笑顔の眩しいアレクセイと、うんざりした顔のドラコが座っていた。
――いや、正確には朝からご機嫌なゴールデンレトリバーと、それに振り回されて疲れ果てている飼い主の姿だ。レイたちが席へ近づくと、アレクセイは嬉しそうに身を乗り出した。

「おはよう、レイ!」
「ああ。お早うアレクセイ。ドラコ」
「……お早う」

 はしゃぐアレクセイに対して、ドラコはこちらを見るなり、朝から重いため息を吐いた。
 どうやらドラコは完全にアレクセイに懐かれたらしい。きっと昨日の夜から喋りっぱなしだったのだろう。ドラコの額にうっすらと青筋が浮かんでいた。今はそっとしておくに越したことはない。

 ホグワーツ時代と同じように、レイが朝食である一杯のミルクティーを嗜んでいると、時間割表を何枚か手にしたネビルがこちらに向かってやってきた。
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