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かるら怪談

第42章 精神病院にて


☆☆☆
それで?
私はHの話を促した。
「こういう話、好きだろう?」
と言って、いたずらっぽく笑う。彼が時折見せるその表情には覚えがあった。

特に怪異というわけではないのでしょう?

私が問うと、
「正解!」
と指差してくる。調子に乗っているときの彼の癖だ。

「レビー小体型認知症って言ってね、ないものが見える幻視が起こったりする認知症の一種だよ。珍しいのは、家人が知らない人に入れ替わったっていうカプグラ錯視が併発していることかな」
Hによると、カプグラ錯視とは、自分のよく知っている人がいつの間にかそっくりの偽モノに入れ替わってしまった、と信じこんでしまう妄想の一種なのだそうだ。
「怪異現象じゃなくて残念だったね」
そう言ってHはニヤリと笑った。
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