第35章 人形
Kさんが言うには、Fの母親がKさんと話しているときも、彼女はFさんの肩や頭を撫でたり、腕をさすったりしていたそうだ。その時の表情はなんともうっとりとした様子だったという。
「何より、署から出ていく、別れ際、Fの母親が一回振り返ったんだ。そのとき、ちょっと遅れて彼女も振り返った」
その顔が、なんとも凄絶な笑みだったという。
「Kと俺は、『あいつがホシだ』と直感したんだ。
もちろん証拠はない。だから何もできない。
でも、ああ、全てがあいつの思うようになったんだ、って
そう思ったんだよな」
あれが呪いってやつだったのかな・・・
Aさんは誰に言うともなく、ひとりごちした。
その後、Fさんとその『彼女』がどうなったのか、さすがにそこまではわからないという。