第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
「……ひとまず、“天使”探しだな。コガネ」
『コガネ使い荒くない? しんど~』
コガネの言葉を無視し、東京第2結界の泳者を全て閲覧する。ディスプレイをスクロールするが、“天使”やそれに相当する名前の者はいない。
念の為、登録されたすべての参加者をリストアップさせ、高速でスクロールさせていく。途中で、仙台の決壊へ参加らしい乙骨の名前を見つけた。
さらにスクロールして気になる名前がないか確認していく中で、星也はピタリと画面のスクロールを止める。
「……悠仁? 何で ここに名前が……?」
秤を説得して回游に参加したのか?
いや、滞留決壊が空欄だ。虎杖が先行して参加しているわけではない。
それに、【死滅回游】の情報収取は乙骨が担っており、“天使”捜索は星也の役割。そもそも、先行して虎杖を回游に参加させる意味はない。
ディスプレイを上から下まで何度もスクロールさせるが、詞織や伏黒、秤の名前も見当たらない。
「悠仁は元々【死滅回游】の泳者だった、としか考えられないな……けど、どうして……」
泳者は羂索に呪物を配られて受肉した過去の術師、もしくは【無為転変】で術式を覚醒させられた現代の術師のはず。
虎杖は確かに宿儺を受肉しているが、羂索に呪物を配られたわけではなく、自分の意思で【宿儺の指】を食べた。
もちろん、術式を持たない術師だ。後者の条件も当てはまらない。
「はぁ……考えてもしかたないな……」
憶測に憶測を重ねたところで、答え合わせをしてくれる者はいない。ならば、自分は自分の役割を全うしよう。
ひとまず、鹿紫雲は避けた方がいいだろう。戦闘になれば、“天使”を探すどころではなくなる。
そう考えて星也は方位の吉凶を占い、凶兆の出ている方角を避けて【白虎】を走らせた。