第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】
「刑法三十九条一項だ。弁識能力と制御能力、いずれかが欠けていると心神喪失となる。渋谷での君は宿儺に肉体を乗っ取られていた」
「なんで宿儺のこと……」
「君は制御能力がなかった。自発的に制御を放棄したわけでもない。つまり――無罪だ。君に罪はない」
自分の問いに答えることなく天井を見つめる日車に、虎杖は眉を寄せて顔を顰める。
「……でも やっぱり、俺のせいだ。俺が弱いせいだ」
――「縋りついてきた手を振り払わないように――私だけは、目を開けていたい」
その行為から逃げた俺も――……。
「……そうか」
呟くように相槌を打つと、虎杖から躊躇うような気配を感じる。
「日車……なんで さっき術式を解いたんだ?」
「初心に還った」
――虎杖……もしかしたら、オマエのような弱さを持つ人間が、まだまだいるのかもしれない。
身体を起こし、日車は虎杖を呼んだ。