• テキストサイズ

夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】


「……心臓が……動いてる……!」

 桃の言葉に、真希も膝をつき、妹の胸に触れる。次いで、視線が垂水に向けられた。

「安心しろよ。アンタの天与に影響はない。真依は死んだ。オレがやってんのは死者の冒涜だ。死んだ真依の身体を、オレの魂が無理やり生体機能に働きかけて動かしてる」

 真依が死んだ事実は変わらない。

 正直、これは賭けだ。

 魂さえあれば肉体を動かせるだろう。
 そんな単純な思いつき。理屈があってのことではないが、自分にできるのはそれだけだった。

 息を吹き返した真依がどういう状態なのか、垂水自身にも分からない。

 垂水の話に桃がさらに涙を流すも、真希は何を考えているのか分からない、底知れない暗い瞳で聞いていた。

 そこへ、真依の瞼が微かに震え、双子の姉の姿を捉える。

「……え……何で、あたし……」

 言葉を発し、戸惑う真依の様子に心底 ほっとする。

 真希が真依に黙って額を合わせ、抱きしめた。そして ゆっくりと離し、「真依を頼む」と短く垂水と桃に言い置く。

「ちょっと、真希……!」

 真依に呼び止められ、真希が一度足を止めた。

「アンタ、これからどうするんだよ」

 けれど、真依にも垂水にも、真希が返事をすることはない。

 真希は振り返って こちらを一瞥すると、重たい覚悟を引きずるようにして去って行った。
/ 548ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp