第6章 悪魔
「次にご案内するのは、今、来ている占いの館になります」
先程までいた建物を出て、外に出た。
丁度、シンデレラ城のような洋風のお城をくぐり抜けて入り口と反対側に出てきた格好になる。
見上げると、銀色に輝くまんまるの月が天頂に達しようとしており、その冴えた光が薄ぼんやりと遊園地を青く照らし出していた。
あいかわらず、ボクとツクミ以外、ここにはいないようだった。
あちらこちらにあるアトラクションは稼働をしているようで、キラキラとした光を放っているのだけれど、人の気配というものがなかった。
キョロキョロとあたりを見回しながらツクミの後をついて行ったボクだが、よそ見をして歩いていたせいで、ぽんと彼女の背中にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい」
ぶつかったのは、彼女が突然立ち止まったからであるのだが、ボクはとりあえず謝った。
「こ、こちらこそ申し訳ありません」
「どうしたの?」
「いえ、ひとつ、注意事項を思い出したのです」
そう言って、彼女はこちらに向き直る。
その銀色の不思議な瞳が、月明かりを返してなおさら神秘的に輝いていた。
「注意って?」
「はい・・・あの、これから入る館には『占い師』がおります。もしも、その子から何かを買うように勧められても、決して買わないと約束してください」
「う・・・うん」
そもそも、ボクはお金を持っていない。
買おうとしても買うことなんてできないと思うのだが・・・。
ボクの回答に満足したのか、ツクミがにこりと微笑んだ。
「では、ご案内します。あちらが、当園が誇る『占いの館』です。どうぞ、お楽しみください」
彼女が指し示したのは、『館』というよりはサーカスのテントに近い感じのものだった。『今、来ている』とツクミが言っていたように、おそらく興行みたいな感じなのだろう。
ボクがテントの入口の暗幕を開いて中に入ろうとすると、ツクミがそこで立ち止まる。『こないの?』と尋ねると、彼女は『ええ、彼女は私が多分嫌いなので』なんて言っていた。
変なの・・・そう思いながら、ボクは暗幕の中に体を滑り込ませた。目が慣れない内は何も見えなかったが、すぐに薄ぼんやりとした照明に目が慣れて、中の様子を窺い知ることができた。