第13章 少しずつ変わる者たち
「ねえねえ、ちゃん、それ一口ちょうだい!」
「あ、いいよ。はい、どうぞ」
翌日の昼休み。
いつもは疼く身体を隠すようにどこかへ行ってしまうだったが、今日は「たまには一緒にご飯食べよう!」とクラスの女子たちに誘われ教室にいた。
最初は他愛のない授業の愚痴だったはずが、いつの間にか話題は女子特有の『恋バナ』へとシフトしていく。
「聞いてよー! 先週、D組の男の子と連絡先交換したんだけど、返信が遅くてさ。これって脈ナシかな!?」
「えー、単に照れてるだけじゃない? 男の人ってそういうの疎いし!」
みんなのキャッキャと弾けるような笑顔や、好きな人を想い一喜一憂に胸を痛める姿を見て、は心の底から「いいな」と思っていた。
本来、自分と同じ歳の女の子たちがするべき、等身大の普通の恋。
それをどこか他人事のように微笑ましく見つめていると、突然鋭い視線がこちらを向いた。
「で!ちゃんはどうなのよ!?」
「えっ? 私?」
「そうそう! ぶっちゃけ、好きな人とかいないの? 気になる人でもいいからさ!」
身を乗り出してくる女子たちに、は一瞬言葉を詰まらせた。
頭をよぎるのは昨夜あれほど激しく自分を貪った轟の熱い肌や、不器用な優しさで手を差し伸べてくれる相澤や緑谷の姿、そして自分を縛り付ける爆豪の顔だった。
(好きな人、か……。そんな綺麗な感情、もうわかんなくなっちゃったな……)
彼らとの間に流れるのはいつだって濃厚な精液の匂いと、抗えない肉体の疼きだ。
恋と呼ぶにはあまりに濁りすぎている。
は引きつりそうになる頬を必死に持ち上げて、なんとかいつもの笑顔を作った。
「うーん……今は、いないかなー」
「ええーっ!? マジで!?」
「もったいなーい!! こんなに可愛いし、スタイルもめちゃくちゃ良いのに!」
女子たちが一斉にブーイングを上げる。
一人がの胸元に視線を落とし、羨ましそうに溜息をついた。