第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
「……これは、治療だ。あんたの心から闇を追い出すための、医者としての処置だよい。……いいな?」
自分自身に言い聞かせるようなマルコの低い声が、静かな室内に響いた。
彼はゆっくりと、彼女をベッドへと横たわせる。
その眼差しには、男としての情欲よりも、深く、静かな覚悟が宿っていた。
「……嫌だったら、いつでも言うんだよい」
マルコが囁くといのりは潤んだ瞳で頷いた。
それに背中を押されるように、マルコは彼女のシャツのボタンを外していく。
露わになった白い胸元には、まだあの男がつけた痕が呪いのように残っていた。
マルコは苦い表情を浮かべながらも、服の上から慎重に、けれど確かな熱を持って揉みしだく。
「ん、ぁ……っ、はぁ……」
いのりの口から、先程までの悲鳴とは違う、甘い吐息が漏れた。
その無防備な反応に、マルコの理性がじりじりと焼かれていく。
「……これ以上進めば、もう引き返せねェ。……本当によいんだな?」
確認するように問いかけるマルコの手に、いのりは自らの手を重ね、彼の手を強引にシャツの内側へと導き、熱を帯びた生肌に直接触れさせた。
「……お願い。……直接、触って……。あの人の感覚が、まだ……ここに、こびり付いてるから……っ」
「っ……あぁ、分かったよい……」
吸い付くような肌の柔らかさに、マルコの指が、本能に突き動かされるように強く揉み入った。
「あ、んっ……マルコ、さん……っ」
「ここか……? ここを、あいつに吸われたのか……」
マルコが痕の残る鎖骨のあたりに指を添えると、いのりは小さく頷き、縋るように彼の金髪に指を絡めた。
「……吸い上げて……。あの、汚い感触……全部、消して……っ」
「……あぁ、全部……俺が消してやる」
マルコは深く、深く腰を屈めると、彼女の胸元の痕に唇を寄せた。
慈しむように舌を這わせ、その熱で呪いを焼き切るように吸い上げる。
「あ、はぁ……っ! んん……んっ! あ……暖かい……」
ティーチの獣のような蹂躙とは違う、マルコの「不死鳥」の熱が、彼女の冷え切った心をじわじわと解かしていく。
「……マルコ、さん……マルコ、さん…っ!」
彼女の切実に求める声に、マルコはついに最後の一線を越える覚悟を決めた。