禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
宴の喧騒、響き渡る笑い声、そしてぶつかり合うジョッキの音。
白ひげ海賊団の本拠地、モビー・ディック号の甲板は、いつも通りの「家族」の活気に包まれていた。
「グラララ! 野郎ども、今日はとことん飲むぞ!」
白ひげの豪快な笑い声が夜風に溶ける。
しかし、その喧騒を切り裂くように、一番隊隊長マルコの眉がピクリと動いた。
「……今の気配、気づいたかよい?」
隣で肉を食らっていたビスタとイゾウが、即座に表情を引き締める。
見聞色の覇気が、船の端——死角となる場所に、異質な「揺らぎ」を捉えていた。
「ああ。敵の奇襲にしちゃあ、妙に弱々しいが……」
「行ってみるかよい。宴の邪魔をさせるわけにはいかないからね」
マルコを筆頭に数人が影の差す甲板の隅へと向かう。
酒の匂いが薄れ、代わりに鼻を突いたのは——濃厚な「男の残滓」の臭いだった。
「……っ! これは……」
光が照らし出した光景に、イゾウが息を呑んで目を背けた。
そこに倒れていたのは、ボロボロの服を纏った若い女——いのりだった。
彼女の両手は後ろ手にきつく縛られ、服は引き裂かれたかのようにボロボロだ。
白い肌には赤黒い鬱血痕が散り、その足の隙間からは、彼女が受けてきた惨い仕打ちを物語る白濁した液体が溢れ、甲板を汚していた。
「ひどいな……人間業じゃねェ……」
「……おい、生きてるかよい」
マルコが膝をつき、震える指先で彼女の頸動脈に触れる。
糸のように細い、しかし確かな鼓動。
彼女の意識は深く沈み、ただ荒い呼吸だけが、この地獄のような現実を繋ぎ止めていた。
「ビスタ、悪いがオヤジに伝えてくれ。侵入者じゃねェ、『犠牲者』だよい。宴を続けるよう言ってくれ。……イゾウ、お前はタオルと水を持ってきてくれ。他の奴らをこっちに寄らせるな」
「わかった、マルコ。……頼んだぞ」
マルコは迷うことなく、自らの上着を脱いで彼女の痛々しい体を包み込んだ。
細い肩を壊さないよう、慎重に腕の中へ収める。
あまりの軽さに、マルコの瞳に静かな怒りの炎が宿った。
「こんな小さな体で、一体どんな地獄を潜り抜けてきたんだよい……」