第10章 第十話
「アンタ自身が己をどう思おうと構わない。だが、従う部下はどうだ?
そのように命を粗末にする将軍に仕えるのは嫌だろうし、アンタを敬愛する部下はそれを聞いてどう思う?俺は聞き捨てならないね」
ジザベルの言葉に、ムラサメは眼を閉じた。
「…そうか。難しいな…
俺には今、この命にこれっぽっちの意味も見いだせないと言うのに」
「グリフィスもアンタもさ、なんでそんな卑屈なわけ!?
『俺はここで生きてるんだぜ!!!』だけで十分だろ? だってそれだけはどこであろうと変わらないことなんだから!」
ムラサメの言葉は、ソルトには理解できないくらいに卑屈に感じたようだ。
「そうか。
今は暗闇で何も見えない。
だが、『俺はここで生きている』以外の何物でもないな」
ムラサメはそう言って、また遠い目をした。
(危うい奴だ…)
ユリウスはムラサメの様子をみて、そう感じた。
「って!!ちょっと待て!お前、それ!完全にカモだぞ!足元見られてる!!」
ジザベルは、ムラサメを必死に止める。
「そうなのか?俺はよく相場が分からない」
「しかも、そのなんか変な置物…何個買ったんだ!?」
そう。今、ムラサメは、動物なのか、土偶なのか、謎の粘土製の置物を、手に一杯抱えているのだ。
「ここの名物だと言っていた。収容所から出られないみんなへのおみやげのために」
何個か落としそうになり、慌てて抱えなおす。
「お前、何年ここに住んでんだよwここの風習にいい加減に慣れろよwww
しかもこんなんいらんwwそして名物でもないww」
ジザベルが笑いながら、ムラサメに返品させに、来た方へと戻って行った。