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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第47章 片道と寄り道


紅海が照れて笑ってくれれば、それで話を終わらせられる
そう思った

けれど、口にしてみると、ひどく遠回りに思えた
紅海は、すぐには答えなかった

五条は、その沈黙を見て焦る
「ま、僕といると楽しいのは分かるけどね?何せ、最強で、顔もいいし人気者だしね?」

いつもなら、紅海が呆れて突っ込んでくるところだ
けれど、五条はその反応を待たない

「でもさ、ほら…僕ら、今まで通りでいいんじゃない?」

言ってしまった
紅海の顔を見る

「……ね?」
笑顔は崩さない

まるで、それが二人にとって一番自然な答えであるかのように
五条は、紅海が何か言うのを待っていた

やがて、彼女の口元が動く
『そ、そうだよね…』


その言葉を聞いて、紅海の胸の奥がヒヤッとした
ああ…そっか

自分だけだったのかもしれない
五条にとっては、いつも通りの何気ない時間

楽しくて、気楽で、特別な意味なんてない
それなのに、自分は好きだって言葉を口にして悟を困らせたに違いない

『そ、そうだよね!』
声が少しだけ上ずった
紅海は慌てて笑う

『ごめんね、なんか変なこと言っちゃった! 今まで通りの仲で宜しく!』
言いながら、自分の頬が引きつっているような気がした
ちゃんと笑えているだろうか
悟に、気を遣わせていないだろうか


五条は、彼女の声を聞く
ちゃんと笑っている…でも、さっきまでの紅海の声とは少し違う

あー、くそー!
自分で言ったことなのに、胸の奥が妙に重かった

紅海が気まずくならないように
今までの関係を壊さないように
そう思って言ったはずの言葉が、彼女自身を傷つけている

いや、こうなる事は分かっていた
分かっていて、言った…最低だ

「……うん、よろしくね、紅海」

いつものように笑ってみせる
紅海も、笑った

『うん!』
その返事は、もう元の調子に戻っていた

少なくとも、そう聞こえた。
五条は、それ以上何も言わなかった

いつものようにからかうことも、冗談でごまかすこともできなかった
それが正しいのかどうか、まだ分からない

ただひとつ、確かなことがあった
いつもなら、紅海の笑顔を見るだけで気持ちが軽くなるはずなのに

今は、少しも安心できなかった
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