第39章 スカートと青春
教室の扉が開いた
「たっだいま~!」
いつも通りの軽い声
その後ろから、紙袋を抱えた紅海が顔を覗かせる
『皆ただいま』
「紅海先生!お帰り!」
虎杖が真っ先に立ち上がる
紅海はへにゃっと笑うと、紙袋を机へ置いた
『はい、京都のお土産』
「やった!」
虎杖が嬉しそうに受け取り、伏黒も小さく頭を下げる
「ありがとうございます」
『野薔薇ちゃんも』
「ありがと」
…京都か
そういえば
「あ、ねぇ紅海ちゃん」
『ん?』
「遊佐さん、元気だった?」
紅海の表情がぱっと明るくなる
『うん、遊佐君には、お世話になりっぱなし』
その笑顔を見た瞬間
野薔薇は、やっぱりと思った
そう、京都へ行けば、遊佐さんがいる
昔からそうだった
小学生の頃…紅海ちゃんに助けて貰った時
倒れた紅海ちゃんを抱き上げて山を降りてきたのは遊佐さんだった
今でも、その姿は鮮明に覚えている
それから毎年
遠征の時、二人で遊びに来てくれて…見るたびに思っていた
遊佐さんは、紅海ちゃんの距離感
あの二人は、そのうち付き合うんだと思っていた
「紅海、由布湯に看病されてたもんね?」
ふいに五条先生が口を開く
『っな…!』
紅海の顔がみるみる赤くなる
『ち、違うよ!…いや、違わないか…確かに看病されてた気もする…』
「はは」
五条先生は小さく笑った
「で?」
悠仁が興味津々で身を乗り出す
「京都って何してきたんですか?」
「内緒」
五条先生が人差し指を立てる
「まだ報告書すら提出してないからね」
「えぇー」
悠仁が不満そうに肩を落とす
その様子に紅海がくすっと笑った
高専に入ってから、ずっと思っていた
五条先生と紅海ちゃんは、仲がいい
一緒にいるのが当たり前みたいな距離感
正直、ちょっと怪しいと思ったこともあるけど
付き合ってるとかではないらしい
でも頭に浮かぶのは、岩手で毎年見てきた二人
あの空気を知っているからこそ、野薔薇には思えてしまう
やっぱり、遊佐さんの方がお似合いなのよね
もちろん、本人たちには言わない
恋愛なんて、周りが決めることじゃないし
五条先生も紅海ちゃんも、恋愛するって柄じゃないのかも
だから、遊佐さんの事を応援してしまう