第42章 開く扉
え?どうして・・・なんで?
私は混乱した。今まで仲良くしてくれた紀美子ちゃんと、明らかに違うように見えたからだ。紀美子ちゃんが後ずさった分、私は一歩、二歩と紀美子ちゃんに近寄っていく。
「紀美・・・子・・・ちゃん?」
紀美子ちゃんの目がたちまちうるみ、涙ぐんでいるようにみえる。そこに浮かんでいるのは・・・浮かんでいるのは・・・
恐怖心・・・そして、
嫌悪感
だった。
「紀美子ちゃん!」
私が叫ぶように彼女の名を呼ぶのと、彼女が踵を返して走り去るのは、ほとんど同時だった。
私が伸ばした手は空を切った。こちらを一瞬たりとも振り返らずに、紀美子ちゃんは走り去っていってしまった。
ただ、私の横で大きな白百合が、静かに風にゆらりと揺れていた。