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天狐あやかし秘譚

第48章 応病与薬(おうびょうよやく)


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【応病与薬】病に応じて薬を与えること。
相手をよく見て、対応しなくちゃダメよ、みたいな。
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最近、村で急にインフルエンザが流行りだした。保健所を通じて、『できるだけ外出しないでください』というお触れが村中に出されたくらいだった。

中類村・・・人口400人程度の小さな村。
何にもないけど、村長さんである名越の家が代々、周辺で取れる薬草を用いた秘伝の薬を作っていて、それが存外人気がある。そのため、村人の大多数が、農業と製薬業、及びその販売や流通などで生計を立てられてしまうという、小さな村にしては珍しく経済が成立しているのが特徴だった。

なので、私たち家族みたいに、若い人もちゃんといる。
風光明媚・・・というわけではないが、自然豊かで静かで、私は割と中類村が気に入っていた。なんだかんだ言って、うちの両親もそうなのだろうと思う。

ただし、過疎の村であることは確かなので、学校に行くのに片道1時間以上バスに乗らなければいけないのには、閉口するけど・・・。

私と同じ年代の子はこの村にあと2人いる。薬草を栽培している農家の菜摘(なつみ)ちゃん、それから稲作農家の誠(まこと)だった。私の家は薬作りと販売を手掛けている。私の名は夏希(なつき)といった。同じ年代と言っても正確には年は違う。一番お姉ちゃんが菜摘ちゃんで、高校1年生。頑張って家から町の学校まで通っている。誠は中学2年生で私の一個下。私は中学3年生でもうすぐ受験、という身だった。

言われなくても家からは出ない。
出ないで勉強する必要があるわけだ。私が目指しているのは、全寮制の市街地の高校だった。全寮制ということで、何かと不自由だろうが、菜摘ちゃんみたいに片道1時間半も通学でとられるのはやっぱり辛い。

ピロン、と手元のスマホがメッセージアプリの通知を発する。

菜摘ちゃんだ。菜摘ちゃんも流行りのインフルで一昨日あたりから寝込んでいたようだった。でも、メッセージを見たら回復した、と書かれていたので少し安心した。
そう言えば、例のお触れが出てから、学校にも行かないようにと言われているようで、すでに授業がない私はともかく、誠も家にいるらしい。なんだか冬休みが伸びたみたいで羨ましい。
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