第7章 禪院と事情
仁美は直哉の言いつけの通り、大人しくその部屋にこもっていたようだ。
直哉は仁美のベットに腰を下ろすと、そのまま倒れるように仁美の膝に顔を埋めた。
「……ほんま疲れたわ…。」
文句を言う直哉だが、どうやらまだ機嫌はよさそうだ。
仁美は戸惑いながらも、膝の上で揺れる直哉の髪を見た。
そしてゆっくりと手を上げると、直哉の頭を軽く撫でる。
仁美の手の感触に、直哉は一瞬目を瞑ると、すぐに体の向きを変えて仁美を見上げた。
「…もう部屋から出てええで。」
「…そうなん?」
直哉の言葉は意外だった。
だけど、まだ術師として禪院家で出来ることが嬉しくもあった。
直哉は仁美の戸惑った顔を見て軽く笑うと、体を起こして仁美にキスをした。
本当は、禪院家に消耗されるだけの女だと分かっていても。
直哉は仁美にはそれを言わなかった。