第19章 笑わない人が笑った時ってキュンとする(爆豪勝己)
地震の所為か、突然電気も消えてガタガタと色々なものが激しくぶつかり合う音が聞こえる。
正味20秒くらい揺れは続いただろうか。
やがて、ゆっくりと揺れは収まり始めた。
「怪我、ねぇか」
揺れが収まった所で、勝己は繭莉の上から身体をどかしながら言った。
「……は、い……」
「ンな顔してるヒマなんかねぇぞ、外に怪我人いねぇか確認しに行くんだからよ」
繭莉がまだ真っ赤な顔をして頷いたが、既にヒーローモードに入っていた勝己は、先程までのプチパニックぶりはどこへやら、冷静に事務所の扉を開けた。
「っ!……これ……」
どうやら、地震の揺れは自分達が思っていたよりも強かったらしい。
歩道には、ビルの外壁やら看板やら何やらが無数に落ちていて怪我人も何名かいるようだ。
「おい、ボーっとすんな!怪我人なんとかすんぞ!」
勝己の後ろでぼんやりしていた繭莉に怒鳴ると、彼女ははっとした後表情を引き締めた。
「……はい!」
2人は、手分けして怪我人の保護や救急隊への連絡を始めたが、恐らくあちこちで色々な人が救急車の要請をしているのだろう。
「だから、怪我人いるから今すぐ救急車よこせっつってんだよ!あ?他も要請来てるって?こっちだって必要なんだよ!」
なかなか救急車は来そうにもない。
「チッ……なんとかなるまでここにいるしかねぇ」
「……そうみたいですね」
繭莉が、頷いたその時だった。
「あぁっ!ヒーローいた!ダイナマイトぉ!あっちのビルが!火事なの!助けて!」
1人の女性がそう叫びながら勝己達の方に駆け寄ってきた。
「……火事……!」
勝己と繭莉は、顔を見合わせた。
「ビルの中に逃げ遅れた方は!?」
「何人かいるの!お願い助けてあげて!」
2人は、こっちと言って走って行く女性を追いかけた。
「あのっ、爆豪さん、今更なんですがっ」
走っている途中で繭莉が勝己に言った。
「ダイナマイトって、有名ヒーロだったんですね……っ」
「はっ、マジで今更だわ!」
「すみませんっ、急ぎましょう……!」
会話をやめて、走るスピードを上げようとしたその時だった。
「きゃあぁっ!!」
誰かの悲鳴と共に、大きな爆発音があたりに響く。