第19章 笑わない人が笑った時ってキュンとする(爆豪勝己)
そんな反応をされたら、もっと先に進みたくなってしまうのなんて、分かり切っている。
「…………」
……んだけど。
「……?」
自分が何か変な事をしてしまったのかと思った繭莉が勝己を見上げるけれど、その手は腰骨辺りで止まったままだし、その顔は繭莉と同じくらい赤く染まっていた。
そう。
何を隠そう、勝己はこういう事が初めてだったのだ。
なので、夢中で繭莉の身体に触れておいてなんだが何故かここで我に返ってしまった勝己は相当混乱していた。
お、俺……
何してんだ?いや、なにって……
触りてぇと思ったから触っちまった……けど……
こっから先、どうすんだ?
お互い真っ赤な顔で、完璧に動きの止まった勝己と繭莉。
しんと静まり返った事務所が、更に静かになる。
「……あの……」
先に口を開いたのは繭莉だった。
「爆豪さん?」
「っ!」
不意に名前を呼ばれた勝己はビックリして繭莉の身体からバッと手を離した。
しかし、次の瞬間離した手をガシっと掴まれる。
「はぁっ!?」
想定外の事をされて、思わず変な声が出てしまった。
「……あ……」
今度は繭莉がやってしまったというような表情で勝己の手を離そうとした。
勝己はその手を離すまいとぎゅっと握ると、自分の胸元に引き寄せた。
「「…………」」
何故か、手を握り合ったまましばらく無言で見つめ合ってしまう。
好きだから、触りたい。
なのに、この先どうすればいいのかイマイチよく分からない。
分からないもんだから、勝己は諦めの境地に至った。
……なんだ……
もう、カッコつけようとか思っても、しゃーねぇわ……
ンな事したって初めてなのには変わりねぇんだからよ……
「……悪ぃ……俺……」
繭莉の手を握ったまま、自分はこんな事を初めてするというちょっと情けない告白をしようとしたその時だった。
「「あっ!!」」
突然グラグラと激しく床が揺れて、机と椅子が激しくぶつかり合う。
「地震……!」
揺れはどんどん激しくなり、棚の本やら何やらが音を立てて落ちてくる。
「危ね……!」
勝己は咄嗟に繭莉の上に覆い被さった。