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君の隣で眠らせて【チェンソーマン連作短編】

第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】



『…はい』

声がうわずらないようにルルは携帯を握り直した。

「先日のチェンソーの悪魔を狙った襲撃事件、先に情報をくれていたおかげでそれほど大きな被害にはならずに済んだよ。デンジ君も4課のみんなも無事だった。ありがとう」
『そ、そうですか…それは良かったです』
「…ルルちゃんが4課から居なくなっちゃって、みんなさみしがってるよ」

ルルが何か返事をする前に、マキマは続けて言った。

「私もさみしいな。…だって、民間のデビルハンターであるルルちゃんが公安の邪魔になるようなことをした時には、無条件で消される立場になっちゃったんだもんね」

その言葉を聞いて、ルルは全てがバレていると悟った。






「…お前はマキマに飼われるなよ」

デビルハンターになって間もない頃、ルルにそう忠告してきたのは岸辺だった。
何気なくこぼすように言った師匠のその言葉は、純粋な気持ちでマキマを慕っていた自分の心の中のコップにポタリと黒い雫を落とした。


一歩引いた視点で見ると、対魔特異課の中にマキマに心酔している人物が何人かいるのが分かった。
アキもその中のひとりなのだと気が付いたが、そのスタンスが一番彼の身の安全に繋がっているように思えたルルは本人には特に何も言わないことに決め、逆に自分とアキとの間にあえて一線を引いた。

そのアキがマキマを裏切り、職務上とはいえ公安を辞めて民間のデビルハンターとなった自分に肩入れしたことが公になってしまえば、厳重な処分を免れることはないだろう。

マキマは暗にそのことを警告する為に電話をしてきたのだと思った。


『…っ』

想像した未来に戦慄し、冷や汗が噴き出す。
無難な返答で電話を切ったルルは、急いで身支度を整えてバスルームを出た。

ベッドで仮眠をとっているアキを見つめる。
きっともう2度と会えないのだと、本能で分かった。


『……サヨナラ…』

心から愛しい人を起こさないようにそっと口付け、ルルは静かに部屋を後にした。



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