【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第16章 Where His Darkness Lives
「どうしたの?」
仁美はそう言って、黒尾に向かって笑みを浮かべる。
黒尾はその表情を見ると、少しだけ目を細めて、距離を詰めてきた。
仁美の前まで来ると、躊躇いなく彼女の手を握る。
「会いたかった。」
「……私も、会いたかった。」
仁美 は黒尾の目を見たまま、ゆっくりと答えた。
そう答えた仁美に、黒尾はふっと笑った。
そして更に仁美に顔を近づける。
耳元で黒尾の息が触れた。
「今日はさ……研磨に邪魔されないで、二人で過ごしたい。」
その声は胸が締め付けられるほど官能的に聞こえた。
このまま黒尾が、自然に、当たり前のように、「うち来る?」とでも言ってくれたら……。
そうしたら、この胸のざわつきも、研磨の言葉も、昨日からずっと心に残っている違和感も。
全部、晴れる気がした。
黒尾の手を握り返しながら、仁美 はその言葉を待った。
仁美 は黒尾の言葉に小さく頷いた。
それだけで、黒尾の表情がぱっと明るくなる。
子どもみたいに無防備な笑顔だった。