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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


お湯に浸かっていると、両手を指を絡めて握られる。

「こっち来て。もっとくっついてや」

大人しく従い、負担をかけないように額を肩に触れさせた。どちらの心音なのかわからないが、酷く耳に響く。どうせ私だろう。

「……怪我治ったら、抱いてええ?」

「ん……」

肩に額が触れたまま答える。すると頭に頬を擦り寄せてありがとうとお礼を言われた。もう、後悔するでとか言わないんだ…。

名前を呼ばれて顔を上げるとお互いの額が合わさり、至近距離で見つめ合ってしまう。私の鼓動なんて聞こえてしまっているだろう。

ねぇ、宗四郎さん…なんで私の気持ちを知っているくせに、こんな風に接するの?私以外でもたくさん宗四郎さんとしたい人なんているのに、どうして私に拘るの?

そうやって考えていると、いつも一つの答えに辿り着くの。でも、違うって言い聞かせてる。本当に違った時、耐えられないから。

「……ふっ、僕のこと好き過ぎて、おかしなってまう?」

「っ…私、好きなんて言ってないもん」

宗四郎さんは笑いながら額を離して、垂れてきた前髪を搔き上げた。見惚れてしまう程美しくて危険なその仕草に、全身が震えた。

そっと彼の胸に触れると、ドクドクと早めの鼓動が伝わってくる。私だけじゃないんだ、ドキドキしてるの。期待してしまうから、誤魔化せないような反応をしないで…。

お湯の温度が上がった気がした。
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