第106章 義勇の新しい継子〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
日が暮れる前に、義勇は自身の鴉に伝言を託し、無一郎の元へと飛ばした。
無一郎がここへ到着する前に、まずはゆきを起こしておかねばならない。
義勇は、座り込んだ自分にぴったりと体を預けて眠るゆきの肩を、優しく揺すった。
「起きろ…ゆき」
「う〜ん…」
小さく可愛らしく唸る声が耳に届くだけで、義勇の胸は再びぎゅっと締め付けられる。
「ゆき、起きろ」
「う〜ん、やだ…もう少し…」
寝ぼけた様子のゆきは、義勇の胸元へとさらに顔をうずめると、その細い腕を彼の腰に回してぎゅっと抱きついてきた。
無意識の行動だと分かってはいても、肌越しに伝わる温もりに義勇の鼓動はどんどん跳ね上がっていく…。
「お、おい…ゆき……」
夢心地のゆきの頭の中には、愛おしい記憶が広がっていた…。
かつて義勇と過ごした日々の記憶…
…義勇さんの匂いがする。声も…もう朝なの?まだこうしていたい…すごく安心する…
自分にすっかり甘えきっているその姿に、義勇の理性が静かに揺らぐ。
引き留めたいという我が儘な感情を抑えきれず、義勇は呟く。
「…離れてくれなければ、このままお前を奪い取りたくなるじゃないか」
義勇は覚悟を決めたように、腕の中の愛おしいゆきを力強く抱き締め返した。
その強い力で身体が引き寄せられ、肌に伝わる体温が濃くなった瞬間、ゆきの意識はゆるやかに夢から引き戻されていく…。
ゆっくりと重い瞼が開かれ、少しずつ目の前の視界が鮮明になっていく。
目の前にあるのは、見慣れた隊服の布地と、自分を優しく包み込む力強い腕。
そして、すぐ近くで重く刻まれる義勇の鼓動の音だった。
「…ぎ、ゆう…さん…?」
ぼんやりとした瞳が義勇の顔を捉えた瞬間、ゆきの頬が一気に桜色に染まった。
「あっ!や、やだっ、私…すみません…」
ゆきは、謝りながら義勇から離れた。
そして立ち上がろうと、足の裏の怪我を忘れその足で踏ん張ろうとした。
「その足は!駄目だ!」
痛みで立てずゆきが、体勢を崩した所を義勇が下で抱きとめた。
ゆきは、義勇の上に重なる様にして倒れてしまった。
目の前に義勇の顔がある…
二人の目が合い…見つめ合う…