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【鬼滅の刃】彩りの恋(R18)短編集

第4章 薄紅色の恋(冨岡義勇)








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「……両親は?」

何処かに出かけてきた水柱様は、玄関の履物が私の分しかないのを見て尋ねられた。

『馬車が思ったよりも早く来て、先程帰りました。手配をしていただき、ありがとうございます。あと、お土産も…』

「いや……すまなかったな、色々。」

『いえ…』


水柱様は私の前を通り過ぎようとし、足を止めた。

「…少し話せるか?」

『はい。』


良ければ、と手渡された袋の中には桜餅が入っていた。

『わぁ…桜餅、好きなんです。』

「……縁側にいる。」


お茶を淹れ、桜餅をお皿に移すと縁側に向かった。

水柱様は庭を見つめていたけれど、表情は曇っているように見えた。



何を話したらいいのだろう…



『遅くなりました…』

座って良いか伺うと、頷いて下さった。

お互いお茶を啜り、言葉のない中、時間だけが過ぎていった。



何か話題を…



水柱様が買ってきて下さった桜餅を口に入れると、驚いて声が出た。

『…っ…美味しいっ。』

「…ふっ…好みは昔のままだな…」

水柱様は柔らかく微笑んでこちらに目を向けた。



笑った顔…

初めて見た。



心臓がドクンと高鳴った。

「お前が昔、桜餅が好きだった事を思い出した。
甘露寺はわかるな?彼女が絶賛する店の物だ。間違いはないと思って買ってきたが…
気に入ったならよかった。」

確かに美味いな、と水柱様も菓子楊枝に刺した桜餅を口に入れた。


また、時間だけが過ぎていった。


先に口を開いてくださったのは水柱様だった。


「幼い頃…姉は俺を庇い鬼に食われ、亡くなった。」

『…っ……』


急な話題に驚き、息が詰まった。

「天涯孤独になったが、狭霧山で2人の仲間と一緒に育って…いく分か気持ちが楽になった。1人はお前、もう1人は錆兎という少年だ。そしてお前がいなくなり、錆兎も選別で亡くなった。」

『…………』

息が詰まって、うまく呼吸ができない。

「親友の錆兎が亡くなった時……死ぬのは俺で良かったのではないかと…考えない日はなかった。」

『っ…そんな事…』

「信じられないだろうが、そのあたりから何を食べても味がせず、何かを面白いと思うこともなくなった。ただただ鬼を斬る毎日だった……だが…」


水柱様は再びうっすらと微笑まれた。
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