第4章 薄紅色の恋(冨岡義勇)
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side 紗耶
「紗耶っ、どうしたの?顔真っ赤よ。てか、顔布どうしたの?早く隠さなければ上長に怒られるわよ!?」
『……さっき屋根から雀の雛が落ちて死んでいたの。顔布でくるんで拾ったから、持ち帰って埋めるつもり…』
「ちょっと…
そんな事していたら尚の事怒られるじゃないっ…
ほら、早くつけなさい。雛なんて履いて捨てたらいいのよ。私達の役目は水柱様のお屋敷の手入れや環境整備なんだから。」
そう言って綾香は予備の顔布を手渡してくれた。
私達は今日、水柱様の屋敷の担当で、手分けして庭掃除をしていた。顔布を外し、雛を拾って袋の中に入れて戻ろうとした際、水柱様に呼び止められたのだ。
「ねぇ…今日水柱様、非番なんですって。お会いできるかしら…あぁ、こんな事聞かれたら上長に怒られちゃうわね。でも水柱様…本当に素敵なんだもの。何であんなに美しいのかしら…紗耶もそう思うでしょ?」
『………』
「紗耶…?」
『あ…うん。
私、手を洗って湯浴みの支度してきちゃう。』
パタパタと走って風呂場に向かった。
『さっきの…何だったんだろう…』
"お前は…雫だろう?"
水柱様のあんな表情を始めて見た。
苦しそうで、見ているこちらが切なくなった。
私を誰かと間違えていそうだったけれど…
きっと大切な方に違いない。
『…早く…見つかるといいですね。』
「誰が見つかるといいんだ?」
『…っ…水柱様…』
いきなり風呂場に現れた水柱様に、驚いた。
「先程はすまなかった…」
『いえ…私こそお役に立てず…申し訳ありません。』
「……お前は昔…狭霧山に住んでいなかったか?」
『狭霧山…ですか…?』
初めて聞いた山の名前だった。
『住んでいません…私は道博山で育ちました。』
「親は?」
『流行り病で亡くしました…
それから育ての親と、ずっと一緒です。』
「13の時、お前は必ず狭霧山にいたはず…」
『13…?育ての父と母に聞いた話だと…
私も流行病で高熱がでて…その辺りの記憶がないんです。』
「お前の父と母に会いたい。」
『ぇ……あの……両親がびっくりしてしまいます。』
『確認したいんだ。お前は絶対に雫だ。両親と話したい。』