第26章 痕跡 ✴︎
「…、
どこか辛いなら言って欲しい。
俺にできる事なら何でもする。」
『…。
辛いところがある訳じゃないです…。
あと、眠れそうにもないので…
ちゃんと話をしてくれませんか…?』
「話、とは…」
『私との関係を終わらせようとした理由…
冨岡さんの口から聞きたいです。』
「…。」
別れてからも
冨岡さんが私を想ってくれていたのは分かったけど、どうして理由も言わずに別れを告げたのかは聞いてないから…
冨岡さんの本心が知りたい…。
鱗滝さんから冨岡さんの過去の話は聞いたけど
私は…
冨岡さんの口から
直接言葉で全てを聞きたいんだ…。
この人とずっと一緒にいる為には…
冨岡さんの過去の辛さも全部、受け止めてあげたい。
「分かった…、ちゃんと話す。」
『ありがとうございます。』
寝転がっていた体勢から起き上がり
布団の上に座って、冨岡さんが話し出すのを待った。
「お前が鬼に負傷させられた知らせを聞いた時…、
俺は…、怖くなったんだ…。」
『怖く…ですか…?』
「俺のかつての師から話を聞いただろ?
また錆兎の時と同じように…、
大切な人が俺の側から消えてしまうのが怖いんだ。」
『え…。
ど、どうして私が錆兎さんの事を聞いたって
知ってるんですか…?』
「鱗滝さんから手紙を貰った。
お前があの人の元を訪れ、
俺の過去を知ったと書かれていたからな。」
『!?す、すみませんっ!!
勝手に話を聞きに行っちゃって…!!
気分悪くされましたよね!?!?』
「いや、そんなことはない。
俺もお前と同じ立場だったら
同じことをするだろうから。」
…どうやら冨岡さんは
私が御館様から手紙を貰ったことで
鱗滝さんの所を訪ねたことを知っているようだった。
「俺は…、最終選別を突破していない…。
ただ錆兎に守られて生き残っただけだから…、
本来なら、鬼殺隊に俺の居場所はない。」
『っ、そんなこと…』
「お前を守ると豪語しておきながら
肝心な時に守ってやることができなかった…。
柱という立場になっても
大事な女1人を守れない……、
きっと俺には、を守ることなどできないのだと…、そう思った。」
『冨岡さん…』