第23章 別離
『いや、ですよ…、
だって私…っ、こんなに人を好きになったの…、初めて、で…っ』
去っていく冨岡さんの背中に向かって
訴えかけるように声を掛けても、振り返ってくれない事に寂しさと虚しさを感じた私は、
ボロボロと大粒の涙が溢れ出してきた。
「…泣くな、。」
『っ、無理、ですよ…っ!
悲しくてっ…、気がおかしくなりそう、で…っ!』
「俺にはもうお前の涙を拭う資格はない…、
だから泣くな。」
『やだっ…!待って…!冨岡さん!!』
一度も振り返らず、私が引き止めても返事をしてくれないまま、冨岡さんはスタスタと歩いて門の方へと向かって行き、私は慌てて追いかけた。
『お願いですっ!!待ってくださ……っ』
門の外に出てしまった冨岡さんは
私が外に出た途端、すぐに姿を消してしまった。
目に見えないスピードでいなくなった冨岡さんを追い掛けるのは、私には到底無理で…
『うっ…うぅ…、ひっ…く…、なん、で…』
突然の別れに
1人になった今でもまだ理解することができず
私は地面にペタッと座り込んだ。
『や、だっ……、こんな…の…っ…、
夢なら醒めてよぉ…っ』
どうして冨岡さんは、私に何も話してくれないの…?
どうして嫌いになった訳じゃないのに別れを告げたの…?
どうして……、泣きそうな顔で謝ってきたの…?
『うっ、うっ…、冨岡、さっ……、うぇっ…』
私達の恋人関係が始まった時もそうだったけど
終わる時にも冨岡さんの言葉足らずなところは同じで…
そんなところも冨岡さんらしさがあって
愛しいなって思ってた。
でも、もう振られちゃったから
こんな気持ちを直接伝えることさえ許されないんだよね…。
『ひっ…く……、うぁ…あぁ…っ』
どんなに泣いても、冨岡さんはもう私の恋人じゃない…
そう確信したら、悲しくて、悲しすぎて
私はそのまましばらくの間、ずっと涙をこぼし続けた。