第23章 別離
『…あの、しのぶちゃん、』
「いいですよ?
冨岡さんに会いに行かれるんですよね?
屋敷の仕事の事は、明日から再開してくれれば結構ですから。」
『あ、ありがと…』
…さすがしのぶちゃん、
私の行動を完全に読んでたみたい。
冨岡さんの屋敷に行ったところで
会えるかどうかは分からないけど
顔を見ながらこの前の返事をすぐにしたい…。
少しだけでもいいから顔を見て話したい…。
そんな気持ちを抱え
私はすぐに蝶屋敷を飛び出し、冨岡さんが暮らしている屋敷へと向かった。
体力はすでに戻っているから
屋敷まではひたすら走り続けて、あまり時間がかからず到着した。
『ふーっ…、冨岡さん…いるかな…』
少し緊張気味のまま、私は扉を開けて門をくぐった。
『っ、ぁ……』
屋敷内に入った直後、
冨岡さんの姿をすぐに見つけることができて…
どこかへ出掛けるところだったのか、
玄関の扉の鍵を閉めているところで
私の視界に入ったのは、いつも通りの冨岡さんの後ろ姿だった。
『冨岡さんっ…!』
「…っ、……」
声を掛けてから小走りで駆け寄ると
私が尋ねて来た事に驚いている様子なのが見受けられた。
「良かった…。元気になったようだな…、
体は大丈夫か?」
『はいっ!ご心配おかけして、すみませんでした。
それに…、鬼との戦いにも…、その…』
「謝る必要はない。
不利な戦いだったことは聞いてる…、
俺は気にしていない。」
『そ…うで、すか…』
…気にしてない、か。
本音を言えば、鬼に対してもっと怒りを露わにして欲しかった。
冨岡さんの恋人である私に触れた鬼に
妬いてくれてたんじゃないかって……
勝手にそんな事を思っていた自分が恥ずかしくなり、無言のままでいると、冨岡さんの方から声を掛けて来た。