第20章 神倒し
「高貴な姫が何用だ」
信長はいつもの様に振る舞っているが、貴族のそれも帝の許嫁となれば、若干態度、言葉を丁寧にしている。
「慎太郎に聞いたわ。美桜が帰蝶の商館にいるって。今から助けに行くつもりなのでしょう?でももう間に合わないわよ。あいつらは京に進軍しているのだから」
「何故京に?」
秀吉、政宗、家康、蘭丸は訝しげな顔をするが、信長、光秀、三成は即座に理解した。
「まさか、帝を倒すつもりか」
「ええ、その通りよ。義昭は帝を軟禁し、自分が将軍に返り咲こうとしているの」
「武士でさえ帝を倒すことは禁忌中の禁忌。義昭がそれをするとは余程の阿呆だな。失敗すればいくら将軍といえど打首だ」
光秀は苦い顔をして事を整理する。
「美桜も京にいるはずよ。貴方達にお願いするのはこれが最初で最後‥‥美桜を、帝を、京を助けて」
「言われずとも、そのつもりだ」
信長は好戦的な笑みを向けた。千姫はそれを見て、この人達なら信用できると思った。
「兵はいくらでも使って構わないわ。私も一緒に京へ向かう。ここにいる誰よりも京の地理を理解しているんだもの。道案内くらいやらせて」
軍備も増えた事で士気が増し、織田軍は京へ進軍した。
「太一くん、そよちゃん。お腹空いてない?平気?」
「うん、僕は大丈夫」
「わたしも、へいき」
私達は蘭丸君が部屋を出た後、同時刻に商館が奇襲されていたことを知った。三人で廊下で様子を見ていたら帰蝶達が私達を抱え、京に向かった。
「(一体、どうして京に?帰蝶達は何を考えているの?)」
思考を巡らせても答えがわからない。丁度その時伝令兵の声が聞こえた。
「帝を軟禁しました。京の包囲網も完了です」
「やっと派手な祭りが始まったぜ」
「如何致しましょう。義昭様」
「手始めに女子供をここへ連れてこい。抵抗する者は殺して構わん
「(帝を軟禁?!こいつ、どんだけ頭おかしいのよ!それにまた弱い者を奴隷の様にする気?!)」
怒りが湧くが鎮めるために拳を強く握る。
「(考えろ。私がここでできる事は少ない。女性達を助けるしかない‥‥!)」