第19章 文書
「蘭丸か」
降りて来た姿を見て驚きもせず、信長は温度のない目で見据えた。
「蘭丸?!おまえ、何故ここにいる!」
「あんた、織田を離れたんじゃなかったの」
秀吉、家康に不信な目で見られても蘭丸は信長だけを見ていた。
「‥‥信長様。俺は、織田を離反した者です。罰はいくらでも受けます。‥‥でも、これだけは受け取って下さい」
そう言って差し出したのは美桜に託された新たな情報が書かれた紙。信長は無言で受け取った。
「‥‥琴葉、読み上げろ」
「わかりました。‥‥本当の黒幕は足利義昭。義昭が日の本の頂点に立って独裁的な国にしようとしている。と書いてあります」
「義昭め。余程自分が上でないと気が済まないやつらしい。これで帰蝶達の思惑も、倒すべき奴もわかった。‥‥蘭丸、貴様には美桜の救出を」
「信長様!正気ですか!信長様を裏切った者に作戦を任すなど‥‥」
「案ずるな。使える駒を使っているまでだ。美桜を無事連れ戻せたら咎めはなしだ」
「信長様‥‥!ありがとうございます」
蘭丸は深くお辞儀をして広間の末席についた。
着々と作戦を立てていると家臣の一人が焦った様子で広間に入ってきた。
「失礼します!信長様にお客様です!」
「‥‥誰だ」
「そ、それが‥‥」
「軍議中失礼するわ」
「な、貴方様は‥‥」
秀吉をはじめ織田軍の武将は全員声が出ない程驚き、信長でさえ、目を見開いた。
「初めまして。帝の許嫁の千姫よ。美桜と琴葉とは友人なの」