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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第56章 羽織る温もり、奪われた光 ※


ホークスの腕の中で、の呼吸がわずかに乱れた。

ほんの一瞬。
ほんの、ほんの一瞬――
心が、別の名前を呼びかけた。

(……消太、さん……)

声になる前に、喉の奥で、詰まる。

でも、その間をホークスは見逃さなかった。

抱きしめる腕が、強くなる。
逃げ場を塞ぐみたいに、ぐっと。

ホ「……今、誰を思い浮かべとる?」

の心臓が、跳ね上がる。

「……っ」

答えられない。
答えなくても、たぶん、わかってる。

ホークスは、の顎に指をかけて、無理やりじゃない、でも確実に、顔を上げさせた。

視線が、ぶつかる。

ホ「…今は、俺やろ」

いつもの軽さはない。
冗談も、笑いもない。

その距離で、まっすぐに。

息が、頬にかかる。
声が震えている。

ホ「イレイザーがどんだけ大事か、わかっとる。あの人が、をどれだけ支えとったかも」

一拍。

ホ「それでも、今は……」

ホークスの額が、の額に触れた。

ホ「思い出してもいい。忘れんでもいい。でも、今は」

唇が、触れるほど近くで。

ホ「俺が支える」

そして、はっきりと。

ホ「。……愛しとーよ」

その言葉に、の中で、何かが崩れる。

否定できない。
拒めない。

ホークスの想いは、ずっと、抑えられてきた分だけ、重かった。

ホ「……俺が上書きする」

低く、囁く。

唇が重なる。
逃げ道を塞ぐように、深く、深く。

「んっ……んん…」

相澤を忘れさせるためじゃない。
思い出す余裕を、奪うためのキス。

の胸が、苦しくなる。

でも、縋ってしまう。
壊れた心は、求めてしまうから。

ホークスの腕の中で、は、静かに目を閉じる。

(消太さん……ごめんなさい)

そして同時に。

(…啓悟……)

声には、ならない。

でも、その夜。
確かに、ホークスは“上書き”を始めた。
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