第7章 君に負けたくない
「それではァァァ!! 騎馬戦、スタートォォ!!!」
プレゼントマイクの絶叫が響いた瞬間、スタジアムが震える。
地上から、一気に無数の騎馬が迫ってくる――
その全ての視線が、たったひとつのポイントに集中しているのが分かる。
「1000万!!」「とにかく緑谷を落とせ!!」
常闇くんがすぐさま黒影を展開し、
お茶子ちゃんが重力解除を強化。私は一気に翼をひるがえす。
『――上がるよ!』
風を切って、チームごとスタジアム上空へ。
「逃げた!?」「飛んだぞ!?」
プレゼントマイク「これは前代未聞!逃げるが勝ちの空中騎馬!
機動力チートの空飛ぶチーム現るーーー!!」
相澤先生「正解だ。数的不利なら機動で補う。緑谷の判断だろうな」
地上が、まるで豆粒のように小さく見える高度。
全員の体重を支えながら、私は旋回を繰り返す。
(……さて、まずは状況把握)
下を見下ろせば、騎馬同士のぶつかり合いはすでに始まっていた。
……と、その時。
「上だ、瀬呂!」
爆音が響いた。
上空にまで、爆破の勢いを使って跳んできたのは爆豪チーム。
宙に浮いたまま、私たちを睨みつけて爆豪が叫ぶ。
「逃がすかァァァ!!」
同時に――
「テープ、今ッ!!」
瀬呂くんのテープが、バシッと私たちの騎馬に絡みついた。
『っ……!』
「危な――」
次の瞬間、勢いのまま引かれて騎馬が落下!
私は体勢を崩しそうになり、反射的に身をひねる――が、
「おい、受けろ!!……落ちんなよ、バカ!」
バッと下から爆豪が手を伸ばしてきて、私の肩をがっしりと支えた。
『え、あ……』
「ったく、空飛んでイイ気になってんじゃねーぞ」
そのまま瀬呂くんのテープが優しく引き下ろし、私たちは地上へ。
騎馬はすぐさま体勢を整えたけれど、私の頬は――不意打ちで熱かった。
プレゼントマイク「うぉぉっと!?今のは…助けたのか!?敵なのに!?恋なのか!?友情かァ?!イレイザー!」
相澤先生「煩い。単なる落下事故防止だ」
でも、爆豪の瞳は明らかに燃えていた。
「今から獲る。全員蹴散らしてでもな」
その視線に、一瞬、背筋がゾクッとした。
けれど――
『…やってみなよ。そう簡単に落ちないよ、私たちは』
次の瞬間、再び風が吹き抜けた。
もう空中の優位はない。
でも、ここからが本番だ。