第17章 「花は蒼に濡れる**」
自分でも、うまく説明できない気持ち。
でも――
先生に抱きしめられて、そのまま全部奪われたいって……
心のどこかで、思っちゃってる。
視線を落とせば、膝の上で手が小さく震えていた。
ゆっくりと、深く息を吸い込む。
胸の奥に渦巻いていたものを、ひとつひとつ、飲み込むように。
(……私も、先生と――)
そう認めた瞬間、怖さの代わりに確かな想いが灯った気がした。
私は、そっと先生の手を取った。
「緊張……は、してますけど……」
先生の視線が私を捉える。
その瞳の奥に冗談も、からかいもない。
「……でも、あの言葉は、私の本当の気持ちです」
もう目は逸らさなかった。
息を吸って、唇をそっと結ぶ。
「わたしも……先生と――」
「……したいから……ここに来ました」
最後の言葉はほとんど囁きだった。
恥ずかしくて、顔が燃えているみたいに熱い。
先生が目を見開いたあと、静かに瞬きをした。
そして、ソファの上に残っていた二人のわずかな隙間が埋めるように、体を寄せる。
「じゃあ――」
先生の手が私の頬に添えられる。
親指がそっと頬骨をなぞった。
「本気でのこと、抱くよ?」
その言葉は優しくて、でも容赦なくて。
息ができない。
喉が熱い。
目の奥が潤んでくる。
私はもう、頷くことしかできなかった。
先生がそっと額を寄せてくる。
まぶたが触れそうな距離。
呼吸が重なるほど近い距離。
「、好きだよ」
先生の唇が近づいてくる。
私はゆっくりと目を閉じた。
まつげが震える。
時間がほんの少しだけ止まった気がした。
そして――
やわらかく、でもしっかりと。
先生の唇が私の唇に重なった。