第2章 〈天竜人編┃10話完結〉子供時代
〈第1章 ┃01/10話〉【01 輪廻転生】2/2P
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とても曖昧なものだった。
だって[私]はどこの誰で、なにが好きで嫌いな人で、どういう人生を歩んで──どんな風に最後を迎えたのか…などが全然分からない。
私が『誰だったか』は全くだけれど[赤ちゃん]や[生まれ変わり]………[手]に[声]に[天井][室内][布団]。
周りにある物や自分の状況が当たり前のようにその単語が出てきて、考えることできる。
(確かに『そう』だと思えるんだよね。赤ちゃんなのに思考も働く。でも赤子でも物心ついている人はいるし。よく分からなすぎるけど〈輪廻転生〉ってこういう感じ?『小さい頃に前世の記憶がある人』もいるもんね。……そういった類いの物かも)
それ系に対してはなにも分からない上に確証もない。なにかがはっきりしているわけでもないことだから『まあ、いいか』程度の軽い気持ちでいた。
(きっとこういう[前世の記憶]やちょっとした感情は、成長するにつれて忘れていったり、新しく覚えることに上書きされたりして『いつから知っていたのか分からない曖昧な物』になっていくのだろうからね)
そんな感じで[赤ちゃん]として不自由で屈辱ながらも、甘やかされる毎日を送って行く。
過程で分かったのは、新しい私には『父上』と『母上』と二人の『兄上』がいて、そんな呼び名を裏切らないお金持ちのお家に産まれた第三子で、みんなにしこたま可愛がられている長女だと言うこと。
クセのある変わった話し方をするけれども優しい父上と美人な母上。母に似て美形な兄達は私に甘く、とことん可愛がってくれる。
───それは、悪くない環境だった。
執筆日〔2018,09,07〕
変加筆〔2024,05,05〕