第10章 悪夢の棲む家
「そーだなー……鏡がなくて鏡をかける壁面の余裕もない時」
「それはあるとしたら?」
「狭い部屋を広く見せるためとか、インテリアとか」
「家中の窓がほとんどすべてそうだとしたら?」
「家中全部?んなアホな!」
ナルの言葉に法生は目を見開かせながら髪を結び終えたが、驚いたあまりに髪ゴムを引っ張りすぎた為に離した瞬間指を弾いてしまった。
それほど驚く内容なのだ。
「やっぱり驚くよねぇ」
「だとしたらそんな事をした理由はなんだろう?」
「……すっとんきょーな理由でよければ。鏡像を互いに反射させようとしているとか、家の中を監視するためとか」
「他には?」
「鏡が主眼じゃねぇとしたら──外を見たくないから……違うな。だったらカーテンやブラインドを付けりゃいい」
ふと、法生はある事を思った。
「外から誰かが覗いているから」
「……なぜ?」
「外から誰かが覗いてる?そんなので窓ガラスを全部鏡にする?」
「ああ。外から覗かれているんじゃないかって不安になった場合はさ、カーテンの隙間とかが嫌なもんじゃねぇかな」
「ああ……なるほど。確かにカーテン閉めても、隙間から気になっちゃうもんね。それに隙間から見られてる所見つけたら怖いや」
うんうんと結衣は頷いてから想像してみた。
誰かが外から見ていてそれが隙間から見えた……ぞっとしてしまう。
「んで、なんとか窓を塞ぐいい方法はないか考えた結果が『窓ガラス自体を塞いでしまえ』なんじゃ?」
この会話に興味を持ったのか、それとも気になったのか安原は帰らずにまた座った。
「でもそれなら紙なり板なり、何か不透明な物でガラスを覆えばいいんじゃないですか?」
「端っこなめくれたりしたら嫌じゃねぇ?」
「ああ……そうか」
「ガラス代わりに板ってのも見栄えがよくないだろう。ガラスの上から木の板を張るんじゃパッキンで押さえきれないだろうし。厚みで窓が開けられなくなるんじゃないか?いっそ窓を取っ払って壁にする手もあるだろうが、手間も金もかかるしなぁ。で、行き着いたのがガラス代わりの鏡なんじゃねぇの?一見インテリアっぽいし」
「……なるほどね」
「なに?このナゾナゾ。まさかこの家の窓って全部鏡なのか?」
「その通り」