第1章 悪霊がいっぱい!?
「いったら効果がない」
「でもぅ、あたしたち助手だしー……」
「だめだ。あしたになったら教えてやる。それまで聞くな」
「ナルのケチ」
全くもって教えるつもりのない様子のナルに、双子は顔をむくれさせる。
「渋谷さんにはなんぞ考えがあるやでです。とにかくあしたまでまってみたらどないです」
膨れっ面の双子にジョンは宥めるように言葉をかけた。
それなら仕方ないと結衣は諦めたが、麻衣は未だに諦めきれていない様子。
そんな時、ナルは何処からかトンカチを取り出した。
突然の凶器にもなるようなトンカチに、麻衣は驚いてしまう。
「そこのベニヤ板で実験室の窓とドアを全部ふさいでくれ」
「まさかの力仕事……」
取り敢えず、三人はナルに言われた通りにベニヤ板で窓やドアを全部塞いでいく。
旧校舎には釘を打ち付ける音が響いていて、結衣はその音が『嫌だなあ』と思いながらも仕事を終わらせた。
「こっちは終わったよぉ」
「こっちも終わり。ナル〜これでおわりだよっ」
「三人とも、板にサインをしてくれ」
意味が分からないけれども、三人はベニヤ板にサインをしていく。
薄い板に『谷山麻衣』『谷山結衣』『ジョン・ブラウン』と埋め尽くすように書いていった。
「中の窓にうちつけた板にもしたよね。これどんなイミがあるのー?」
「てっ、相変わらずの無視かい!人に仕事させておいて」
「ここにもサインを。終わったら帰っていい」
「「えーっ!?」」
ナルはそれだけを言うと早々に旧校舎を出ていった。
一体何が何やら分からないが、取り敢えず双子とジョンも帰宅することにした。
ーーーーーーーーー
翌日。
ナルの謎の行動に相変わらず双子は寝不足になっていた。
この所、いや、ナルが来てから双子は寝不足続きになっている。
「にゃろう……。ナルが来てから寝不足つづきだよ、あたしゃ」
「それはあたしのセリフでもある……」
二人とも目の下に薄らと隈を作りながらも、フラフラと車の元へと向かった。
そして車を視界に入れた瞬間、二人はひくりと頬を引き攣らせる。
「ほ、ホンモノの助手さん…」
そこには結衣と麻衣がケガをさせてしまった助手が松葉杖を片手に持っていたのである。
気まずいと双子が思った瞬間、ナルとその助手が振り返った。