第9章 忘れられた子どもたち
笑いながら小声で話してくる麻衣の言葉に、あたしは吹き出しそうになって我慢する。
なんとか笑いを堪えようとして肩が震えた。
「面白すぎる家族……」
「でしょ……」
あたしと麻衣は身体を震わせながら笑う。
すると後ろからぼーさんに小突かれた。
「二人とも、ヘラヘラ笑ってないで働けよー。これ車に放り込んできてくれ」
「はーい、パパ」
「りょーかい、パパ」
「はあ?なんだそりゃ」
「「ナイショー♡」」
好きな人がパパというのは複雑な気分だけど、確かにこんな家族だったら面白いしきっと楽しい。
そう思いながらあたしと麻衣は車に荷物を運ぶのだった。
翌日。
あたしたちは吉見家をあとにした。
「あたし、あっちの車がよかった…………」
「仕方ないでしょう。あちらの車には五人しか乗れませんのよ」
現在あたしは項垂れながらリンさんの車の後部座席に座っていて不貞腐れていた。
別にリンさんの運転が嫌だからと言う訳ではなく、絶対ぼーさんの車の方が楽しかったと思うから。
(だってここの車、酷いくらいに静かなんだもん……!)
遡ること数分前のこと。
帰りの際に、どちらの車に誰が乗るかという話なったのだ。
『こっちに乗れるのは五人までだからな。二人、リンのほうになってもらう事になるけれど、誰が──』
『原さん、乗りますか』
『もちろんですわ』
真砂子が素早く答えた事にあたしは笑い、麻衣と綾子がギョッとしていた。
だがあと一人誰が乗るんだとなった時、ナルがあたしを見たのだ。
『結衣もこっちに乗れ。言っておくが騒ぐなよ』
『……はあ!?』
何故かあたしもリンさんの車に乗ることに。
その際に麻衣に変わろうかと聞こうとしたが、有無も言わさずに真砂子に引っ張られてリンさんの車に乗車した。
「なんであたしなんだよぉ……ジョンでも良かったじゃあん……」
「まだブツクサ言ってるのか。あまり煩いと降ろすぞ」
「あんたが運転してんじゃないから、それを決めるのはリンさんでーす!リンさんは優しいからそんな事しないしね!ね、リンさん!」
「そうですね」
小さくリンさんが笑う。
最近だが、リンさんが笑う姿をよく見るようになった気がする。
「でも、なんであたしがこっちに……騒がしいとか言うくせに」