第4章 放課後の呪者
初めて、ナルが十七歳の少年だと思えた。
何故隠しておきたいのか、あんなにバツの悪そうな表情をしていたのか気になるが……。
(取り敢えず、言わないで欲しいと言われたんだから黙ってよう)
数分経った頃だろうか。
校内を見て回っていた真砂子と綾子が戻ってきて、ぼーさんが真砂子に『どうだった?』と聞くが、驚愕する言葉が返ってきた。
「霊が全然いない!?そんなはずねえだろ、真砂子ちゃん」
「いませんでしたわ。学校じゅう見てまわりましたけれど、どこにも」
真砂子の言葉に驚いてしまう。
あれだけ相談があり、怖い話だって沢山聞いたというのにいないだなんて……と。
「すくなくとも例の席にはいて当然だ。四件も事故が続いてんだぜ!?」
「あたくしたちは騙されてるんですわ」
「学校の連中ぜんぶに!?冗談じゃねえぞ!」
「た、滝川さん」
「まぁまぁ、ぼーさん」
声を荒らげるぼーさんを、ジョンと二人で宥める。
確かにあれだけ相談があったのに、簡単に『いない』と言われてしまえば声も荒げたくなるものだ。
「……やっかいな事件だな」
荒れるぼーさんを宥める中、ナルが冷静に呟く。
「訴えられた証言のうちいくつが事実だと思う?たとえ、一部だとしてもこの数はやはり尋常じゃない。こうまで学校関係者に連続して現象がおこるのには、なにか理由があるはずだ。その理由も見当がつかない。原さんの霊視だけが頼みの綱なんですが──」
「霊はいませんわ」
「そう、おっしゃるわけだ」
真砂子のハッキリした言葉にナルが溜息を吐き出す。
「真砂子が正しいとはかぎらないんじゃない?」
「松崎さんよりは正しいつもりですわ」
「どーおっだか!どう考えたっていないわけないでしょ」
そこから当たり前と化している、綾子と真砂子の口喧嘩が始まった。
どうしてこう、霊能者というのはいがみ合うのだろうかと溜息を吐き出した時、ナルが小声で何かを呟いたのが聞こえた。
「……がいたら」
「え?」
「なにか言った?ナル」
ナルの呟きは麻衣にも聞こえたようで、二人で聞き返す。
「なんでもない。信頼できる霊視の能力者がいたらといっただけだ。リン、作業に戻ろう」
「おれらも、もう一回りしてこうよぜ」
「さいですね」